新連載

チェリスト 津留崎直紀の

オーケストラ エクササイズ

 

 

Bartok
Concerto for orchestra

2 フィナーレ その3(最終回)

 フィナーレの続きの部分を掲載する。第一例はM231から。この音型は4本の指を均一に使うので指の鍛錬になかなか良い。Feuillard のエチュード並に有効である。*1は2−3−4 を使ってトレーニング用のフィンガリング。ただしあまり実用的ではないので本番では上のフィンガリングの方が楽である。

 

 M244からは3拍のモチーフを2度繰り返す。2回目はボーイングの向きが反対になる。移弦に注意が必要。

 

 次はM292からのフーガ部チェロセクションのソロ。 少しジャズっぽい音がでて来る。

 M 384からの2小節はCis mollのスケール。

 M 409の上昇音階は特殊な旋法である。どの音から初めても最低ひとつの臨時記号が必要になるので新しいタイプの旋法とも考えられるが、中央ヨーロッパかどこかに存在していた音律なのではないかとも思える。 説明するまでもないが鉤型でくくった部分は半音の位置である。

 どの音が主音かは、いろいろな考え方があるだろう。Dを主音にすると(Ex.1)Esが下降導音の役割を果たすことになる。 また一音ずらすとEx 2のようにD が導音になる。

 B からはじめるとBとFisに付くことになるが、この2音にあらかじめ調性記号を付けたいわゆる非スタンダード調性といわれる音階という風にも考えられる。

 ちょっと楽理の話にそれてしまったが、チェロの話に戻ろう。M 413、414も音程をよく気を付けたいところ。M 418からはボーイングが少しややこしい。*1ではその前のダウンから2度続けてダウンになる事に注意する。これを避けるために前の小節のF-H のスラーをとってしまう方法もあるが、出来れば忠実に残しておくべきだ。  *2はEの短いアップのタイミングが指としっかりあうように注意が必要だ。

 M 432は前回も書いたような話であるが、6音音形が4音の枠組みに入っていることを示した。4対6はそれほどの難しさではない。

 

この項 了

    

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2011年2月10日

 

 

 

 

 

 

 

オーケストラ エクササイズ

始めに
1. Rossini Otello
2. Beethoven symph. 9 finale
3. Bartok Concerto for orchestra  2月10日更新

 

 

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