Beethoven Symphonie No9
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M662からの8小節とQはきちんと練習すればそれほど困難なパッセージではない。 84はそれほど速いテンポではないが、指揮者によってはもっと速く振るので少し速めに弾ける様にしておいたほうが良い。M665のAは破線で示したスラーのように前からのスラーに入れて次のCisからダウンにすると弾きやすくなる。

Qからは少し難しい。*1は左手をしっかり開いた形を維持しながら行う。この部分はそれぞれFis
durとH durの音階の一部である。4−1 とシフトしながら移弦もあるので難しいが、音階練習でしっかり習得しておくといい。シフトする時、手を開いたまま一音分ポジションが下がることを念頭において行うとわかりやすい 。*2は5度が二回出て来てちょっと厄介だ。どちらのフィンガリングも一長一短だが、1−1 は指をつぶして二弦押えないで、二つの弦の中間に1 を1本の弦を弾くように立てて置くことによって次の4 への動きがスムーズに行く。4−4 の場合も同じく両方一度に押えずスライドするようにとった方が良い。5度は一般的にこういう速いパッセージでは両方いっぺんに押える人が多いが、スライドしてとることを覚えると他の指の動きが制約されないので良い結果を生むことが多い。下の弦から上の弦にスライドするのは比較的難しくないが、反対は少し訓練が要る。この訓練は6度重音で行う。
老婆心ながら、 M711、712のDisをお忘れなく。

少し厄介なのはSから後のパッセージ。こちらもベートーヴェンの指定は120なのでもしそのテンポであればそれほど困難ではないが、それ以上速いと難しい。*3(M808)は特に明確にきちんと弾くためには努力が要る。 ふたつのフィンガリングが考えられるが、どちらも一長一短である。上の方は音程重視、下はモビリティー重視といえる。4−1−4−1 は音程が難しい。
M801のフォルテになってからF がしきりに出てくるが、この書き方はベートーヴェン独特の書き方である。カルテットでの場合では僕はSf と同じように理解して弾いている。多くの指揮者もそういう風にしていると思う。

M851からのPrestissimoは =132である。*4(M905)のフィンガリングは伝統的には1−2−4 とするだろうが、私は最近こういうほうを好む。移弦さえクリアすればこちらの方がアーティキュレーションも良い。次の小節(*5)の下のフィンガリングも試してみる価値がある。上のフィンガリングで問題は無いのだが覚えておくと他でも応用が利く。
*6(M910)からはフレージングを破線で示したdim のように考えて、各グループの2番目の八分音符から始めるように考えると弾きやすくなる。和声的にもCis,D,Disが重要なので少しアクセントをつけて次の拍のAまでディミニュエンド気味に弾く。 *7で0 を使うのは意外かも知れない。次のCisを弦を跨いで取らなければいけないので普通は避けるものだが2 でとるより上手く行く。

M916Maestosoは =60である。古いエディションでは多くが =60となっているがおそらく四分音符の誤りである。これについては別項で述べる。

最後のPrestissimoはBarenreiter版では =88と仮定しているがおおよそはそのくらいで演奏されていると思う。音は単純だが移弦は少し難しい。
この項了
2010年12月12日
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