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2010年11月から 新連載
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10 オクターブオクターヴ音階もオクターヴの習得のほかにも様々な筋肉的訓練に役立つので欠かせない基礎練習である。3度、6度と同じようにまずロングトーンからはじめる。ふたつの音が完全に一致していなければならないことは言うに及ばないが、その音自体が正しい音程であることもなかなか難しいので、チューナーを併用すると良いだろう。 手の形で注意するべき事柄 親指は弦に対して直角に正しく完全5度に押えられていること。5度の上側の音は実際には聞こえない音だが、実際に5度を弾くときと同じように弦を押えていることが望ましい。3 はふつうのフィンガリングのときと同じようにアーチ状に。1、2 は使わない指だが上側の弦に軽く添えるように置く。持ち上げてはいけない。4 も使わない指だが他のところで述べたが下側にひっぱらないこと。全体として残りの3本の指は親指を置いた形で1オクターヴの音階がすぐ弾けるような形が良い形といえる。開放弦がある調では開放弦を使った方法も覚えておく。中級者くらいまでは3オクターヴの音階程度でよいだろう。 親指の耐久力 3度のところでも書いたがチェロで使う親指の筋肉は意外に弱くまた、耐久性もあまりない。一音4秒程度のロングトーンでも、ここに示した4オクターヴを行うと3分以上になるが、途中で筋肉が疲れてしまうことがある。こうなった場合は続けても無駄である。少し休んでから続けた方が良い。親指の筋肉は少ない時間で、回数を多く行う方が耐久力を獲得するには効果的である。 僅か3分とは言っても実際の演奏でオクターヴを3分間以上続けて弾く曲は筆者の知っている限りではコダーイの「カプリース」という無伴奏曲だけである。この曲は全曲オクターヴの連続である。おそらくはオクターヴの練習曲として作曲したものだろう。 開放弦を使えない調での左手の移弦は少しデリケートだ。 上の例の場合3−3 の動きよりも親指がGesからAs、言い換えるとポジション上で完全4度下がることをまず意識すると良い結果が得られることが多い。慣れるまでは、少しグリッサンドが入るくらいゆっくりと移動するようにする。 弦から指を離してまた置きなおすというやり方は禁物である。 オクターヴで親指のトレーニング さてここまでは純粋にオクターヴだけの話であったが、オクターヴ重音は同時に親指の訓練でもある。3度重音では親指の付け根側、高いほうの弦を押えるが、オクターヴでは低い方の弦を押えることになる。 いずれの場合も親指が完全5度をきちんと押えられていることが大切だ。次にあげる練習法はそのために非常に有効である。 この練習は4オクターヴ全て続けて行う必要はさしてない。出来るだけゆっくり目のテンポで完全5度とオクターヴの純粋な音を耳で確認することの方が大切である。上にも書いたように親指が疲れて来たらすぐ休む。無理に続けても筋肉の発達には役立たない。 さらにはこれの応用として次のようなエクササイズも有効である。 このエクササイズは親指の完全5度と、親指と3の間隔、このふたつの正確さを同時に要求されるので音程の正確さに大変有用である。 また単一の4度ハーモニックスのみの練習もオクターヴと並行してこの機会に練習しておく。
2011年2月13日
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