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8月28日
8月5日四国中央市土居文化会館での人形劇「チェロ弾きのゴーシュ」の公演でオリオントリオが音楽を担当しました。宮沢賢治原作、 台本 演出 人形制作 石川もう、語り、声 高見知佳、音楽 津留崎直紀。 舞台脇でひっそりと出番を待っている人形たちが、ちょっとSurrealiste な(日本語で言うシュール)感じでした。中央はもちろんゴーシュですが、右側の背中を向けてチェロを背負っている方もゴーシュです。このほかにもう1体、家に帰ったときの普段着のゴーシュがあって、合計3体あります。人形たちは服を着替させられないそうで、出番に応じて何体もの人形を制作するそうです。石川さんはチェコのマリオネット劇に触発されて以来世界の人形劇の研究に並々ならぬ情熱を注ぎ、既にたくさんの人形劇を制作なさっています。リヨンにも伝統的な人形劇「ギニョール」がありますがそれも今年(2005年)リヨンまで視察に来られました。マリオネットは樫の木をくり貫いて作るのでかなりな重さがあり、操作はかなり重労働のようですが、石川さんにとって本当にいい人形を制作するにはこれしかないそうです。衣装や舞台装置に使う布材などを探すのは奥様だそうですが、絵柄が人形には大きすぎたりして見つけるのに苦労が絶えないようです。そのほか手袋や帽子といった小物から、机、椅子のような中くらいの大道具?すべてにわたって良く考え抜かれています。
音楽は原作にある「第6交響曲」とはベートーヴェンですとの石川さんの指摘から、劇の始めの金星交響楽団の練習風景とコンサートの部分はベートーヴェンの「第6」をそのままピアノトリオにアレンジして使いました。その他の部分は、部分的にリスト、バルトーク、サンサーンスの白鳥などを使いましたが、僕のオリジナル曲はすべて、「第6」の最初の三つの音、すなわちA,B,Dを基本音で作りました。
猫が出てくる場面での「激しい現代音楽」ではこの3音を3回移調した4つの音群からなる12音で作ってみました。偶然ですが、猫がリクエストする「ロマンティック シューマン作曲トロメライ(もちろんトロイメライ)が、ちょうどこのA,B,Dと同じ音列(E,F,A)を持っているので面白いことができました。そのほか「愉快な馬車」は狸が楽譜を持ってきてゴーシュと一緒に弾くジャズという設定だったので、ブルース風に書いてみたら結構うけが良くて、この辺からお客さんも劇に引き込まれて行ったようです。
こちらの写真の手前左側は、金星交響楽団の指揮者、その後ろには普段着姿の指揮者。中央は同女流コンサートマスター。このキャラクターは原作には無くて、石川さんのアイディア。面白いせりふと振り付けで場内の笑いを誘いました。右後ろにゴーシュの普段着姿も映っています。そのほかの猫やねずみの動物たち、どれも力作です。
テレビ出演や声優としてキャリアのある高見知佳さんの、さすがと言わせる語りと抜群の劇場的センス、石川さんの脚本、演出。熱心に人形の動作を研究して動かしていた石川さんの息子さんをはじめパゴダ幼稚園のお母さんたち、皆さんの力の結晶といえるでしょう。このままで終わらせるのはもったいない。又やりましょうと皆で言い合って四国をあとにしました。
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