「語るバッハ」 その4
不協和音 2

 

5月5日

不協和音の話が伸びてしましました。
先日の「悪魔の5度」などのインターヴァルなどは、ほんの一例でしたが、バッハの「無伴奏チェロ組曲」の場合、一部の曲を除いて、表面的には旋律的なエクリチュール(書法)が大部分です。
なので、前回第1番のプレリュードで指摘したような例を示すには、他のポリフォニックな書法の例でしか示すわけには行きません。しかし、表面的に単旋律であるからといってポリフォニックではないと言う訳ではなく、多くのパッセージはバスのラインを時々混在させたり副旋律的なものを仄めかしたりしています。

かつてシューマンや、レーガーと言った作曲家たちが、ヴァイオリン無伴奏パルティータ等の和声付けをした例がありますが、ロマン派的傾向のかなり強いむしろバッハの音楽を、料理しなおしたような少しグロテスクな物になってしましました。

こういった内在的なバスラインや副旋律はバッハのほかの曲から想像するしか手がかりはないのですが、実はバッハ自信が自作を編曲した例は結構あります。あの有名なヴァイオリンの「ホ長調 無伴奏パルティータ」のプレリュードを、オルガン協奏曲風にカンタータの序曲にして使っています。何番のカンタータだったか今ちょっと判りませんが、どなたかご存知の方投稿お願いします。

比較的平易なチェロ組曲の第1番や第3番は、少し和声的知識のある人には、容易に見つけられます。勿論これは想像上の事柄になるので、奏者の個人的音楽観などが反映されて「唯一絶対」と言ったバスラインは存在しないわけで、そんなところからいろんな演奏解釈も出てくるわけです。

そこで、ここからが不協和音の話に戻るわけですが、こうして作られた「架空のバスライン」との間に生まれる不協和音(又は協和音)を駆使して奏者は音楽を「語って」行くわけです。


     
           

 

もくじ